ウィーンフィルニューイヤーコンサート

今年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートはご覧になりましたか?

 

 

今年、マエストロを務めたのは、ピアニストのダニエルバレンボイム。私の尊敬するピアニストの一人です。彼はオーケストラを常に信頼し、自由に演奏させることでオーケストラの魅力を引き出している指揮者です。

 

彼は

『音楽は人々が思っている以上に重要なものです。(中略)音楽のない時代は貧しいです』

『オーケストラから湧き出る音楽で、指揮者は何でもできる』と話していました。

 

 

第一次大戦中のクリスマスイブ、こんなエピソードがあります。

それは、当時国同士が激しい戦争をしていた中で起こりました。聖なるクリスマスイブの夜に、敵陣から何やら聞こえてきた人の歌声。それはもともと声楽家であった兵士が歌う美しい歌声でした。その兵士の歌声は、敵兵士の心を癒し兵士は感動して涙したと言われています。敵味方という壁を越え音楽によって人として大切な心を通わせたのだそうです。

 

バレンボイムはイスラエルやパレスチナ、アラブの国々など政治的に対立する国々の若手演奏者を集めてオーケストラを組織するなど、中東の障壁を打ち破ろうと心を砕いています。

 

 

戦争や争いからは何も生まれませんが、音楽は「人間」にとって非常に重要なものであり、言語や国境を越えて人として誰もがその心を一つにできる芸術なのだと改めて感じます。

 

 

だからこそ彼はオーケストラを信頼し、自由に演奏させることでオーケストラの魅力を引き出せるのでしょうね。


ダニエル・バレンボイム:1942年アルゼンチン生まれ。10代からピアニストとして音楽活動を開始し、24歳で指揮者としてもデビュー。ウィーン・フィルと初共演したのは1965年。60年という付き合いを通じ、ウィーン・フィルとも気心が通じる関係を築いています。ちなみに2020年6月、コロナによるロックダウンの解除直後ウィーン・フィルが初めて開催した演奏会を指揮したのもバレンボイムでした。

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